マウスピース矯正を行う上で、思ったよりも治療が長引いている気がすると感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、マウスピース矯正にかかる平均的な期間や、治療が長引く人に見られる共通点について詳しく解説します。
目次
■マウスピース矯正にかかる一般的な期間
◎軽度~中等度で半年~2年が目安
マウスピース矯正の治療期間は、歯並びの状態によって異なりますが、軽度であれば半年程度、全体の矯正が必要な場合は1年半~2年ほどが目安とされています。
◎装着時間が治療期間に影響
マウスピース矯正は、1日20時間~22時間の装着が基本とされており、装着時間が足らない場合は治療期間が延びてしまうリスクがあります。
取り外しが自由にできるメリットの裏側には、自己管理の重要性も伴います。
■歯の移動にはなぜ時間がかかるのか
◎骨の吸収と増生によって歯は動く
歯の移動には、歯の根っこの周りにある「歯根膜(しこんまく)」という組織が関係しています。
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マウスピースによって歯に力がかかると、この歯根膜が反応する
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力がかけられた方の骨が溶けて(吸収)、そこに歯が移動するスペースができる
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移動後、反対側にできたスペースには骨が再生することで歯が移動する
歯はこの作用を利用して動いていくため、強い力で急激に動かすことはできず、安全のために少しずつの移動が必要となるのです。
◎1枚で動かせる距離はごくわずか
1枚のマウスピースで動かせる距離は0.25mm程度とされており、歯並び全体を整えるには数十枚のマウスピースが必要になることもあります。
■治療が長引く人の特徴とは
◎装着時間を守れていない
もっとも多い要因は、マウスピースの装着時間が不足しているケースです。
1日数時間の不足でも、積み重なれば治療全体に影響します。
装着時間はしっかりと守るようにしましょう。
◎複雑な症例
歯のねじれや重なりが大きい場合、歯を移動させるのにより多くの工程を必要とするため、治療が長引くことがあります。
また、マウスピース矯正は重度の症例では効率的に歯を動かせないこともあるため、治療法をきちんと歯科医師と相談し、選ぶことが大切です。
◎年齢による影響
年齢が上がると骨代謝が落ちるため、若年層に比べて歯の動きが遅くなることがあります。
成人矯正でも十分な効果は得られますが、時間に余裕を持つことが大切です。
また、歯周病を事前に治療する必要がある場合も、その期間余分に時間がかかります。
成人の場合は代謝の遅さとともにこのような問題があるケースも見られるため、これらを見越した治療計画を立てるようにしましょう。
◎診断の正確さ
治療が長引く原因のひとつに、最初の診断や計画が不十分だったケースがあります。
マウスピース矯正は精密な3Dシミュレーションに基づいて進められますが、噛み合わせや動きの癖を十分に反映できていないと、予定より多くの調整が必要になります。
◎リファイメントが多く必要になる場合
リファイメントとは、予定どおりに歯が動かなかった場合に行う再スキャンや追加アライナー(マウスピース)の工程です。
これが何度も必要になると、治療は自ずと長引きます。
■治療後の保定期間も重要
◎矯正後はリテーナーで安定させる
マウスピース矯正で歯の移動が終わったあとも、歯並びを安定させる保定期間が必要です。
これは歯が元の位置に戻ろうとする後戻りを防ぐもので、基本的に矯正期間と同程度かかり、数ヶ月から数年続くこともあります。
保定についてはこちらで詳しくご紹介していますので、あわせてご確認ください。
【計画を守って治療期間長引かせない】
マウスピース矯正は、透明なマウスピースを使用し、自由に着脱できる優れた治療法ですが、その効果を最大限に引き出すには、患者様ご自身の協力が欠かせません。
装着時間、交換タイミング、定期的な通院、そして保定期間まで含めて、計画的に治療を進めることが、治療を短期間で終えるためのポイントです。