インプラント治療を希望しても、「骨の量が足りない」と診断されることがあります。

その場合、骨を増やすための治療増骨手術が必要になることがありますが、その代表的な方法のひとつがGBR（骨組織誘導再生療法）です。

この記事では、GBRとはどのような治療なのか、具体的な手順やメリット・デメリットについて詳しくご紹介します。

■GBR（骨組織誘導再生療法）とは？

◎骨が不足している部分に骨を再生させる治療法

GBRとは、インプラントを支えるために必要な骨の量が足りない場合に、人工膜を使って骨の再生を促す治療法です。

通常、歯を失うと、その周囲の骨も次第に溶けて少なくなってしまいます。

インプラント治療では、インプラント体を埋め入れるための十分な骨量が求められます。

骨が足りない場合は、そのままではインプラントをしっかり支えることができません。

そこで増骨手術を行いますが、実は骨よりも歯肉の方が早く再生されてしまうため、骨が必要なスペースに歯肉が入り込み、うまく骨が作られないということが起こります。

GBRは、人工の膜によって骨を増やすスペースを確保し、骨の再生を助けることで、インプラント治療を可能にする治療法です。

■GBRの手順について

◎1. 骨の不足している部分を確認

まず、CT撮影などで骨の量や質を詳しく検査し、どの部分にどれだけの骨造成が必要かを判断します。

治療計画に応じて、骨造成の範囲や方法が決まります。

◎2. 骨補填材を入れる

インプラント手術の前段階で、骨の少ない部分に骨補填材を詰めます。

補填材には、人工骨や自家骨、またはこれらを組み合わせたものが使われます。

◎3.人工膜で覆う

骨補填材の上から、メンブレンと呼ばれる特殊な人工膜を設置します。

この膜は、骨の再生に必要な細胞を呼び寄せながら、歯肉などの侵入を防ぐ役割を果たします。

◎4. 骨が再生するのを待つ

メンブレンによって保護されたスペースでは、数ヶ月かけて新しい骨が形成されていきます。

通常は、4ヶ月〜6ヶ月程度の期間を待って、十分な骨の再生が確認できた段階で、インプラントの本格的な治療を進めます。

■GBRのメリット

◎インプラント治療の可能性を広げられる

本来なら骨量不足でインプラント治療ができないケースでも、GBRによって骨を再生できれば、インプラントが可能になります。

◎骨の形態をきれいに整えられる

GBRは骨の幅や高さを精密に調整できるため、インプラントの位置や角度をきれいに整えることが可能になります。

■GBRのデメリットと注意点

◎治療期間が延びることがある

骨が再生するまでには数ヶ月単位の時間がかかるため、インプラント治療全体の期間が長くなる傾向があります。

特に骨の再生量が多い場合は、さらに待機期間が必要となるケースもあります。

◎感染リスクがある

GBRは外科的な処置を伴うため、術後に感染リスクが生じる可能性があります。

感染を防ぐためには、決められたタイミングでの歯科医院への来院と、口腔ケアをしっかり行うことが重要です。

また、体への負担も多くなります。

◎基本的に費用が加算される

骨造成はインプラントとは別途で費用がかかります。

使用する骨補填材やメンブレンの種類、治療の難易度によって費用は変動するため、事前に見積もりを確認しておきましょう。

【インプラント成功の鍵は、骨の土台作りから】

インプラントは、骨という土台があって初めてしっかりと機能する治療法です。

骨が足りない場合は、単にあきらめるのではなく、GBRを含めた骨造成によって骨を再生する選択肢もあります。

治療期間は長くなりますが、インプラントの成功率を高めるためには、骨造成治療が有効です。

もしインプラント治療をご希望の方は、ぜひ歯科医院で相談してみましょう。