マウスピース矯正は、多くの方から注目を集めている矯正治療法ですが、全ての歯並びや口腔状態に適しているわけではなく、ワイヤー矯正が必要になる症例もあります。
この記事では、マウスピース矯正の仕組みや適応の可否、そして注意すべきポイントについて詳しく解説します。
目次
■マウスピース矯正の仕組みと特徴
◎マウスピース矯正は歯を少しずつ動かす治療
インビザラインなどのマウスピース矯正では、数週間ごとに形状の異なるマウスピースを交換しながら、歯を少しずつ移動させていきます。
ワイヤーと比べて力のかかり方が緩やかで、比較的痛みが少なく、見た目も目立ちにくいため、人気があります。
◎患者様自身での管理が重要
マウスピースは食事や歯磨きの際に取り外すことができますが、そのぶん装着時間の自己管理が必要です。
推奨される装着時間は1日20時間〜22時間以上で、これが守れないと、計画通りに歯が動かなくなってしまうため、自己管理ができるかどうかが重要です。
■マウスピース矯正が適さないケースとは
◎骨格性の不正咬合がある方
マウスピース矯正では、歯を動かすことはできても、骨格そのものを治すことはできません。
例えば、上下の顎の大きさに差がある骨格性の出っ歯や受け口の場合、マウスピース矯正単独では改善が難しい場合があります。
このようなケースでは、外科的矯正が必要になることがあります。
◎重度の歯列不正がある方
歯の重なりが大きく、1本1本が大きくねじれていたり、位置が大きくズレているような場合は、マウスピースでは歯を正確に動かすことが難しいことがあります。
特に前歯の強い捻転や歯の埋伏は、ワイヤーでの力のコントロールが必要です。
◎装着時間が守れない方
上述したように、インビザラインは1日20~22時間の装着で初めて効果が出る治療法です。
しかし、忙しい仕事や学校生活の中で装着時間を確保できない方、装着を忘れてしまいがちな方には向いていないことがあります。
◎むし歯、歯周病のリスクが高い方
取り外しできるメリットがある一方で、マウスピースの中は湿潤環境となり、清掃を怠るとむし歯や歯周病のリスクが高まります。
口腔内の衛生管理が十分にできない方や、すでに歯周病が進行している方には、慎重な判断が必要です。むし歯や歯周病の治療を行ってから矯正治療を行うこともできますが、リスクが高くなることを知っておきましょう。
■ワイヤー矯正との併用や切り替えも選択肢に
◎マウスピース単独で難しい場合は併用も可能
前半はワイヤー矯正で大きく動かし、仕上げをマウスピースで行うといった矯正という方法もあります。
特に、目立たない矯正を希望しつつも、難症例に対応したい方には適した方法です。
◎治療の途中で切り替えることもできる
治療の進行状況や口腔内の状態に応じて、マウスピースからワイヤーに、あるいはその逆に切り替える判断を行うこともあります。
そのため、どちらの方法にも対応できる経験豊富な歯科医師のもとで相談、治療を進めることが大切です。
【マウスピース矯正は誰でもできるわけではない】
インビザラインに代表されるマウスピース矯正は、確かに多くのメリットがある治療法です。しかし、骨格性の不正咬合や重度の歯列不正などでは適さない場合があることを理解しておく必要があります。
また、装着時間を自己管理できない方には、ワイヤー矯正のほうが向いていることもあります。
自分に合った治療法を選ぶためには、矯正歯科での診断と相談が大切です。
見た目の良さだけでなく、噛み合わせや機能面まで含めて良い治療法を選択することが、満足のいく矯正治療の第一歩となります。