
インプラント治療では、人工歯根としてチタンが広く使用されています。
しかし「なぜ多くのメーカーがチタンを採用しているのか」「チタンは体に悪いのでは?」など、素材の安全性に不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
医学的なエビデンスに基づくと、チタンは生体親和性が高く、安全性と耐久性の両面で優れた金属です。
ここでは、インプラントの代表的素材であるチタンの特徴や体との相性、金属アレルギーとの関係について分かりやすく解説します。
目次
■インプラントに使われる素材「チタン」とは?
◎チタンの基本的な性質
チタンは軽くて強度が高く、さらに腐食に強いという特徴を持つ金属です。
大きな特徴は、インプラント体と骨が直接結合するオッセオインテグレーション(骨結合)を起こす数少ない素材であることです。
この性質により、体内でしっかりインプラントが固定され、人工歯根として長期的に機能します。
◎医療分野で使用される
チタンはインプラントだけでなく、人工関節、骨固定プレート、心臓ペースメーカーのケースなど、体内に埋め込む医療機器にも使用されています。
半世紀以上にわたり世界中で臨床応用が続いており、長期的に安全に使用できる素材として高い信頼を得ています。
■チタンがインプラント素材として選ばれる理由
◎骨としっかり結合する性質
上記でもご紹介したように、チタンと骨が直接結合するオッセオインテグレーションにより、インプラントは人工歯根として高い安定性をもちます。
しっかりと顎の骨に固定されることで、天然歯と同じように噛む力を伝えることが可能になり、耐久性にも優れています。
◎軽くて強度が高い
チタンは鉄の約半分の重さでありながら、強い力に耐えられる高強度の金属です。
噛む力が強い奥歯のインプラントでも耐久性を発揮できるため、長期間安心して使える点が大きなメリットです。
■チタンと金属アレルギーの関係
◎イオン化しにくい
金属アレルギーは、金属が体内で溶け出してイオン化し、体の免疫システムが異物と判断して反応することで起こります。
特にニッケル、コバルト、クロムなどはイオン化しやすく、アクセサリーや時計、金属製のボタンなどでかゆみや湿疹を起こすのはこのためです。
一方、チタンはイオン化しにくく、体内で溶け出しにくい性質をもつため、免疫反応を起こしにくい金属として知られています。
◎酸化被膜を作り、体への影響を抑える
チタンの大きな特徴として、表面に被膜を形成する性質があります。
この膜は自然に生成され、空気、水、体液中でも安定した状態を保ちます。
保護膜は金属のイオン化を抑制し、体の内部環境に触れても金属が溶け出すのを防ぎます。
その結果、アレルギー反応を起こしにくいとされているのです。
◎心配な方はアレルギー検査も可能
これまで金属アレルギーの経験がある方や不安のある方は、パッチテストや血液検査で事前に確認することで、事前に金属アレルギーの症状を予防することにもつながります。
検査結果や全身状態に応じて、チタン以外の素材を選択することもできます。
※歯科医院によってチタン以外のインプラントに対応していない場合もあります。
■インプラント素材にはチタン以外もある?
◎ジルコニアインプラント
チタンが主流ですが、近年は金属を一切使用しないジルコニアインプラントも登場しています。ジルコニアは白いセラミックの一種で、生体親和性が高く、金属アレルギーの心配がありません。
※対応していない歯科医院もあります。
■インプラントはどんな人に向いている?
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長く安定して噛める治療を希望する方
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安全性が高い素材で治療したい方
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金属アレルギーのリスクが低い素材を希望する方
チタンは耐久性、安全性、信頼性のバランスが良く、多くの患者様に適している素材です。
【チタンは医療分野でも使われる信頼】
チタンは骨と結合する性質、腐食しにくさ、生体親和性の高さから、インプラント素材として世界中で長く選ばれ続けています。
ネット上では「体に悪い?」といった検索が見られることもありますが、医学的に見るとチタンは体内で安全に使用できる金属です。
金属アレルギーのリスクも低く、多くの症例で安心して治療に用いられています。
インプラント治療についてご不安な点がある方は、お気軽にご相談ください。
