横顔の印象に影響する要素としてよく挙げられるのが「口ゴボ」という状態ですが、口が開いている状態としてアデノイド顔貌という状態もあります。
どちらも顔立ちに関わるため混同されがちですが、原因や特徴、治療法には大きな違いがあります。
ここでは両者の違いを整理しながら、改善のための治療や関連する医療的アプローチについて詳しく解説します。
目次
■口ゴボとは
◎口ゴボの特徴
口ゴボとは、唇や口元全体が前方に突き出して見える状態を指し、専門的には「上下顎前突」と呼びます。
正面から見ると口元が強調され、横顔では鼻先と顎先を結んだEラインから唇が大きくはみ出すことがあります。見た目の印象としてのっぺり顔に見えることもあります。
◎口ゴボの原因
口ゴボの主な原因は歯列や顎の骨格にあります。前歯が前に傾斜していたり、顎が小さく歯が並ぶスペースが不足していたりすることで口元が押し出されます。
また、噛み合わせの不調和や口呼吸など生活習慣によっても悪化します。
◎口ゴボを放置した場合の影響
口ゴボは病気ではありませんが、見た目だけでなく機能的な問題も生じます。
噛みにくさや、発音のしづらさ、口呼吸によって唾液量が減少し、乾燥によるむし歯リスクの上昇など、健康面にも影響を与える可能性が考えられます。
■アデノイド顔貌とは
◎アデノイド顔貌の特徴
アデノイド顔貌とは、鼻の奥にある扁桃体(アデノイド)が肥大して鼻呼吸がしにくくなり、慢性的に口呼吸を続けた結果として現れる特有の顔立ちです。
口が開いたままになりやすいこと、上顎が狭く歯並びが乱れやすいことが特徴です。
◎アデノイド顔貌の原因
直接的な原因はアデノイドの肥大です。
アレルギー性鼻炎や扁桃肥大などで鼻呼吸が妨げられると、口呼吸が習慣化し、成長期の顎の発育が悪くなりやすいです。
その結果、歯列不正や骨格的な不調和が起こりやすくなります。
◎アデノイド顔貌を放置した場合の影響
鼻呼吸がしにくいことで睡眠の質が下がり、集中力や発育に悪い影響がでることがあります。また口呼吸の習慣はむし歯や歯周病のリスクを高め、全身の健康にも関わります。
■口ゴボとアデノイド顔貌の違い
◎原因の違い
口ゴボは歯列や顎骨のバランスに起因するのに対し、アデノイド顔貌は鼻呼吸障害という機能的問題が根本にあります。
◎見た目の違い
口ゴボは唇が前に出る横顔の不調和が特徴ですが、アデノイド顔貌は顔全体が縦に長く、口が開いている印象が強いという違いがあります。
◎治療の違い
口ゴボは歯科矯正や外科矯正が中心であるのに対し、アデノイド顔貌は耳鼻咽喉科での治療のほか、矯正治療も行われることがあります。
■口ゴボを治すための治療法
◎矯正治療
口ゴボの改善には矯正治療が有効な方法です。
ワイヤー矯正やマウスピース矯正によって歯列を整えることで、口元の突出感を改善します。
◎抜歯矯正
歯を並べるスペースが不足している場合は、抜歯によってスペースを確保し、前歯を後方に移動させる治療が行われます。成人の口ゴボ治療では一般的な方法です。
◎マウスピース矯正で治療できる?
軽度の口ゴボであればマウスピース矯正でも改善が期待できますが、骨格に問題がある場合は、顎の骨を一部切って後ろに下げる外科的矯正が適応となる場合があります。
■アデノイド顔貌を治すための治療法
◎耳鼻科での治療
アデノイド肥大がある場合、耳鼻科での切除術や薬物療法が必要です。
鼻呼吸を改善することで、根本的な原因にアプローチします。
◎口腔筋機能療法
呼吸や舌の使い方を訓練するMFT(口腔筋機能療法)を行うことで、正しい口腔習慣を獲得できます。
これは矯正治療の安定性を高めるうえでも重要です。
◎矯正治療との併用
耳鼻科治療で呼吸が改善した後、歯列の乱れや顎の成長不足に対して矯正治療を行うことで、見た目と機能の両方を改善できます。
成長期の子どもでは早期介入が将来的な健康につながります。
【口ゴボとアデノイド顔貌は原因が異なる】
口ゴボとアデノイド顔貌は似たような見た目になることがありますが、原因も治療法も異なります。
口ゴボは矯正治療で改善が期待でき、マウスピース矯正も適応範囲に入ります。
一方、アデノイド顔貌は耳鼻科での治療に加えて、必要に応じて矯正治療を組み合わせることで、見た目や機能の改善につながります。
見た目だけでなく、呼吸や噛み合わせ、全身の健康にも直結するため、気になる方は早めに相談することをおすすめします。