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噛むことと認知機能の関係、まず押さえたい順番
噛むことと認知機能にはつながりがあると報告されていますが、噛む回数を増やせば衰えを防げるとまでは分かっていません。この記事では、噛む刺激が脳へ伝わるしくみと、動く入れ歯で無理に噛む前に原因を確かめる順番をお伝えします。食事の工夫や相談先の分け方もまとめました。
この記事の要点まとめ
- 噛むことで脳に伝わる刺激と、もの忘れなどの脳の働きにはつながりがあるといわれていますが、噛む回数を増やせば防げるとまではわかっていません。
- 入れ歯が動く、食べにくいときは、回数を増やす前に歯科医院でお口のようすを確かめましょう。
- もの忘れは内科などのお医者さん、噛みにくさは歯科へ相談し、治療のしかたや費用、通う回数をたずねましょう。
噛むことは脳の認知機能低下の予防に役立つ?研究で分かっていることは?
噛むことと認知機能には関連が報告されていますが、噛む回数を増やせば認知機能の低下を防げるという因果関係までは確認されていません。まずは研究で示されている仕組みと、日常生活での受け止め方を分けて見ていきましょう。
噛む刺激は歯根膜や筋肉を通じて脳へ伝わる
食べ物を噛むと脳の血の流れが増えたり、歯根膜(歯の根と骨をつなぐ薄い膜)からの感覚が、海馬など記憶に関わる場所の働きを高めたりすると考えられています1。歯を失うとこの刺激が減り、脳の働きが落ちることにつながるという説も示されています1。なお、歯を失って入れ歯を使っている部分では、天然の歯に比べて歯根膜からの刺激が少なくなる側面があります。
「関連がある」と「噛めば防げる」は別の話
残っている歯の本数や噛む力が少ない人に認知機能の低下が見られやすいという報告は、あくまで両者の「関連」を示すものです1。たくさん噛むことだけで認知症を予防できるという根拠にはなりません。
また、歯周病と認知症のつながりについては、たくさんの調べに加えて、歯周病の菌や体じゅうの炎症を通したしくみなども研究が進んでいます1。脳の元気には、毎日のごはんの栄養や体を動かすこと、人とおしゃべりしたり出かけたりすること、よく眠ることなども関わります。噛むことは、暮らしの中のひとつとして考えることが大切です。
入れ歯が動くなら、一口30回やガムを無理に増やさない
「一口30回」はよく噛むための目安として知られています。しかし、入れ歯が動く状態や痛みがある状態で無理に回数を増やしたり、硬い食材やガムを噛み続けたりすると、歯ぐきや残っている歯に負担がかかる場合があります。回数を増やすことよりも、今の口で無理なく食べられているかを先に確かめましょう。
入れ歯が動いて噛みにくいとき、まず何を見直せばいい?

噛む努力を重ねるよりも、入れ歯の合い具合と噛みにくさの原因を歯科医院で確かめることが先決です。
「お肉が噛み切れない」「生野菜を避けるようになった」「友人との外食で食べにくさを隠している」といったお悩みを抱えたまま、ご自身の工夫だけで乗り切ろうとされる方は少なくありません。
噛む回数を増やす前に、動く入れ歯を相談する
当院では、お口の中のクリーニングや入れ歯(義歯)の調整を含め、治療後のアフターケアに責任を持ちたいと考えています。私たちが使命としているのは、患者さまが年を重ねたときにも幸せに生きるためのお手伝いをすることです。
入れ歯が動く状態で噛む回数を増やそうと頑張るより、まずは今お使いの入れ歯の状態をご相談ください。強い痛みがなくても、合わない状態が続くと、バネをかけている残りの歯や歯ぐきに負担がかかる場合があります。少しの調整で使いやすくなるかどうかは、お口の中を拝見したうえで判断いたします。
歯の本数だけでなく、噛みにくさの原因に目を向ける
当院は、お口を一つの臓器としてとらえ、まるごと診ることを理念にしています。目の前の症状に手当てをするだけで終わらせず、原因をもとから取りのぞき、お口全体の働きを取り戻すことを目指しています。
噛みにくさの原因は、入れ歯の適合だけとは限りません。入れ歯を支える歯のぐらつき、むし歯、歯周病、噛み合わせの変化など、お口全体のバランスが関わっていることもあります。特に歯周病の有無を確かめることは、噛む力を保つうえでも全身の健康を考えるうえでも意味を持ちます1。
受診までは、軟らかさと大きさを工夫して食べる
歯科医院を受診するまでの間は、栄養が偏らないよう調理の形を工夫して食事を続けましょう。
- お肉:うすく切ったお肉やひき肉を選び、煮こんだり、あんかけにしたりして口あたりをなめらかにする
- 野菜:生のままは避け、すじを切るように細かくきざむか、ゆでたりスープにしたりしてやわらかくする
- 毎日のお手入れ:食べたあとは毎回入れ歯を外して洗い、残っているご自身の歯もていねいにみがく
入れ歯が当たって歯ぐきが痛む、支えの歯がぐらつく、食事中にむせることが増えたといった変化があるときは、食事の工夫だけで様子を見続けず、早めに受診をご検討ください。
ポイント
入れ歯が動くときに硬い物を無理に噛むと、歯ぐきや残りの歯を傷めることがあります。回数を意識する前に、入れ歯と残っている歯の状態を確かめましょう。
入れ歯の調整や作り直し、インプラントはどう考えて選べばいい?
治療法の名前から選ぶのではなく、「何をどう食べられるようにしたいか」を起点に考えることが大切です。また、インプラントは失った歯の機能を補う選択肢の一つであり、認知症予防を目的として受ける治療ではありません。
調整・裏打ち・作り直しは、合わなさの原因で変わる
入れ歯が合わないからといって、相談したら必ず作り直しになるわけではありません。お口と入れ歯の状態によって、次のような対応に分かれます。
| 対応の種類 | 主な内容 | 検討される場面の目安 |
|---|---|---|
| 調整 | 当たる部分や噛み合わせを削って整える | 部分的な擦れや噛み合わせのわずかなズレ |
| 裏打ち(裏装) | 歯ぐきとのすき間を材料で埋めて密着させる | 歯ぐきが痩せて入れ歯が浮く・ガタつく |
| 修理・作り直し | 破損箇所の補修、または一から新しく作製する | 人工歯や留め具の破損、全体の大きな不適合 |
※保険で入れ歯を新しく作ったときは、決まりにより、原則として6ヶ月のあいだ同じ種類の入れ歯を保険で作り直すことができません2。費用や通う回数は、どんな処置をするかで変わります。診察のときに見通しをおたずねください。
義歯とインプラントを、噛む機能を支える方法として考える
当院の理事長・今井守夫は、開業する前に大学で、入れ歯やインプラントを教えたり研究したりしてきました。開業したあとも、国立大学といっしょに研究を続けています。
入れ歯は歯ぐきの上にのせて使うため手術はいりませんが、動きやすく、噛む力が弱くなりがちです。インプラントは顎の骨に固定するため噛む力を取り戻しやすい一方、手術が必要で、まわりのお手入れも欠かせません。
一般的には、今の入れ歯の調整で対応できるかを確かめたうえで、別の治療が必要かを検討します。
インプラントを検討するときは、骨の状態も確認する
当院では、外科手術を伴うインプラント治療を行う際、歯科用CTで顎の骨の内部を3D画像として確認し、そのデータを診査・診断に用いています。インプラントは顎の骨の量や全身の健康状態、日々のお手入れの状況を含めて慎重に検討する治療であり、脳への刺激だけを理由に選ぶものではありません。
なお、インプラントは多くの場合、公的医療保険が適用されない自由診療です。費用は、必要な本数やお口の状態、医療機関によって異なります。当院の費用は診察のうえでご案内します。
また、治療後にご自身での歯みがきが十分でなかったり、定期的なメンテナンスを受けなかったりすると、トラブルが起きやすくなります3。そのため、事前の確認と術後の定期的なケアが求められます。
物忘れが気になるときと歯科の相談、それぞれどこで何を伝える?
物忘れが続く場合はかかりつけ医やもの忘れ外来などの医科へ、食べにくさは歯科医院へと相談先を分けて考えると、それぞれで必要な診察を受けやすくなります。
物忘れが続くなら、かかりつけ医やもの忘れ外来へ
ふとしたときに言葉や名前がすぐに出てこないことは、年齢を問わず誰にでも起こり得ます。一方で、同じことを何度も尋ねる、大切な約束を忘れることが増えたなど、ご自身やご家族が以前との変化を感じることもあります。そうした状態が続く場合は、まず内科のかかりつけ医や「もの忘れ外来」、お住まいの自治体の高齢者相談窓口へご相談ください。
歯科医院では認知機能の診断は行えないため、お口のケアと並行して医科への相談をおすすめしています。
食べにくさと費用・通院の希望を相談時に伝える
当院では、より良い治療をご提供する出発点は、患者さまのお悩みやご要望をしっかりと知ることだと考えています。そのため、周囲の目や診療チェアーでの緊張を気にせずお話しいただけるよう、完全個室の相談環境をご用意しています。
「お肉が噛み切れない」「友人との外食で食べにくい」「費用や通院回数が心配で迷っている」といったお気持ちを、どうぞそのままお伝えください。どのような選択肢があり、どのくらいの期間や費用が見込まれるのかを整理する場としてご活用いただければと思います。
東金市で歯科医院を選ぶときに、公開情報で確かめたいこと
東金市内で相談する歯科医院を探すときは、ホームページなどにのっている情報から、入れ歯の調整や治療後のアフターケアへの考え方、相談のしやすさなどを前もって確かめておくと、受診を決めやすくなります。また、使う器具の洗い方や滅菌のしくみなど、衛生管理への取り組みも選ぶときの目安になります。気になる点があれば、予約のときや初めての相談のときに直接たずねてみましょう。
ポイント
もの忘れが気になるときは内科などのお医者さんへ、入れ歯の合わなさや噛みにくさは歯科医院へと、分けて相談しましょう。お金のことや通う回数の希望もえんりょなく伝えると、納得できる治療を選びやすくなります。
よくある質問(FAQ)
Q. よく噛んで食べることは、認知機能以外にどのようなメリットがありますか?
A. よく噛むと唾液が出やすくなり、食べ物も細かくなるため、消化を助けて胃腸の負担を減らすことにつながります。また、よく噛んでゆっくり食べることは、食べ過ぎを防ぎ栄養状態を保つうえでも役立ちます。
Q. 入れ歯を少し調整するだけでも、何週間もかかることはありますか?
A. 入れ歯の擦れや噛み合わせのわずかな調整であれば、1回から数回の通院で済むこともあります。ただし、実際に使ってみて食事中の当たり具合を確かめながら微調整を重ねる場合や、残っている歯の治療が必要な場合は通院回数が変わりますので、診察時に見通しをお尋ねください。
Q. 入れ歯のバネがかかっている歯が揺れています。薬を飲めば揺れは収まりますか?
A. 飲み薬だけで歯の揺れそのものを止めることはできません。歯周病による骨の吸収や、入れ歯が動くことで特定の歯に強い力がかかっていることなどが原因として考えられるため、歯科医院で原因を調べ、入れ歯の調整や歯周病の処置を行う必要があります。
参考文献
1. 認知機能と口腔の健康:歯周病と口腔機能の関連性に係る最新の知見と今後の展望 https://www.jstage.jst.go.jp/article/perio/68/1/68_16/_html/-char/ja
2. ・有床義歯の取扱いについて(◆昭和56年05月29日保険発第44号). https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb0205&dataType=1&pageNo=1
3. よくあるご質問 | 公益社団法人日本口腔インプラント学会. https://www.shika-implant.org/min-implant/faq/
日本大学松戸歯学部 卒業
2014年
医療法人 尚歯会 いさはい歯科医院 勤務
2015年
ぐみょう今井歯科医院 勤務
2019年
ぐみょう今井歯科医院 院長就任
日本臨床歯科学会
日本口腔インプラント学会
インビザライン 認定医
日本歯周病学会
厚生労働省認可歯科医師卒後臨床研修指導医
日本顎咬合学会 認定医
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